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2010.08.09

経済成長は財政破綻を早める

 朝日ニュースターのニュースの真相というCS放送番組。金曜日はダイヤモンド社論説委員の辻広雅文氏が司会をつとめるが、これが毎回面白い。8月6日、中央大学法学部教授の富田俊基氏(野村総合研究所から財政金融調査室長、内国経済調査室長、ブルッキングス研究所客員研究員、政策研究部長、政策研究センター長などを経て現職)を招き国債と財政の関係について持論を展開してもらう。
 結論を先に言うと、経済が成長すると財政も破綻するという。

 例えば経済成長率3%だとする。仮に税収40兆円として3%成長とすると1兆2000億円の税収増となる。しかし経済成長率に合わせて長期金利も上昇するだろう。仮に長期金利が3%となると、現在の国および地方の長期債務残高約830兆円にこれをかけると約25兆円。つまり経済成長による税収よりも返さなければならない借金金利額の方がはるかに増えるというわけだ。税収の半分以上を借金の返済に回さなければならないということになる。

 実は消費税の導入によっても同様な事態が起きるだろうと予測する学者もいる。消費税導入によって小売市場も小さなインフレ状態になるだろうから長期金利も上がらざるを得ない。5%ぐらいのアップでは結局税収増よりも金利上昇による財政負担の方が大きくなるだろうと。そもそも消費税による税収は借金返済には回さないということだから、現状の借金が減ることはない。
 消費税によって謝金を返済しようとするなら25%以上の利率が必要だという。それでも借金をすべてチャラにするには100年かかる計算だと。

 これ以上国債を発行し続けることはさらに借金を増やすことになるが、国債を発行し続けない限りこれまでの借金を返すことさえ困難になってしまう。自転車操業以外には国の予算を組むこともできないのが現状だ。借入金、政府短期証券を含むこの国全体の債務残高が1100兆円を軽く超え、それに対して年間税収は40兆そこそこという現状では、いずれそれさえもできなくなってしまう。実際この国はもうまともに予算を組めないという状況なのだ。

 そうなるとなにが起こるのか。管首相はギリシャの例を取るが、ギリシャでは長期金利が4%から7%に跳ね上がり財政が破綻した。日本の場合は先の例のように3%上がっただけでもう予算の半分が吹き飛んでしまう。
 89年にアルゼンチンが財政破綻したときには年率5000%のハイパーインフレ、ロシアで7000%、2008年にはジンバブエで14桁のインフレというから想像も付かない。
 他国の話ではない。明日のこの国の姿だ。

 ベルサイユ条約によって第一次世界大戦敗戦国ドイツに課された賠償額は200億金マルク(その後1320億金マルクまで引き上げられた)。金マルクというのは資産の裏付けが必要な通貨のこと。すでにドイツ国内では1時間ごとに物価が上がるというハイパーインフレが進行。1921年から1923年の2年間でなんと100億倍というインフレ率を記録している。

 貨幣論で有名な岩井克人氏によると現在の世界の金余り状況、特にドルの垂れ流し状況 からすればこれを上回るスーパーハイパーインフレが起きても不思議ではないと警告する。

 1929年、世界大恐慌。ところが、この世界恐慌からいち早く脱却できたのも実はドイツである。100億倍というインフレ率を一体どうやって克服したのか。
 33年ナチス・ヒトラー政権奪取。すでにドーズプラン(1924年)によって賠償額は実質的に債権放棄状態に置かれ賠償返済への負担はなくなっていたとはいえ、ナチス政権は奇跡とも言える世界恐慌下の復興をどのようにして成し遂げたのか。
 同様に世界恐慌の影響を最小限に抑えた国がもう一つあった。1千万人の農民の犠牲の上に政権の足下を固めつつあったスターリンのソ連。

 歴史は繰り返す。もちろんただ繰り返すのではなくて、螺旋状に、外見はよく似ていても前回とは違った質と量をもって。
 ファシズムと革命の時代がまたすぐそこまで来ているのだ。

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